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犬好き夫が世話しない!イライラ解消で夫婦円満になる秘訣

「ねえ、可愛いねぇ〜」

リビングで、夫が愛犬の頭を撫でながらうっとりしています。その姿を見るたび、私の心には鉛のような重い感情が沈んでいくのを感じていました。30代後半の主婦である私も、犬を飼う前は夫と同じように犬が大好きでした。夫が「犬を飼いたい!」と目を輝かせた時、私も同じくらいワクワクして、新しい家族を迎える日を心待ちにしていたのです。

しかし、現実は違いました。散歩、ご飯、トイレの世話、病院への通院…。「可愛い」と言うのは夫なのに、面倒なことは全て私任せ。夕方、疲れて帰宅しても、ソファでくつろぐ夫と、私を見上げて散歩をねだる愛犬の姿が目に飛び込んできます。「なんで私ばっかり…」心の中でそう呟くたびに、夫へのイライラが募り、犬を飼う前の温かい気持ちはどこかへ消え去ってしまっていました。

「犬が好き」と「世話をする」は別物?夫が当事者意識を持たない深層

夫が犬を世話しないのは、決して犬への愛情がないわけではない、と頭では分かっていました。ただ、「可愛い」という感情と、「日々のお世話」という責任が、夫の中で全く結びついていないように見えたのです。

「男の人って、なんでこうなんだろうね?犬が好きなら世話もしてほしいのに…」

ある日、ドッグトレーナーの友人、美咲に電話で愚痴をこぼしました。美咲は穏やかに私の話を聞いた後、こんな言葉をくれました。

「ねえ、それはね、多くの家庭でよくある話なんだよ。男性の中には、犬を『癒やしの存在』としてだけ捉えてしまう人が少なくないの。犬と遊ぶのは楽しいし、可愛いから愛情は感じる。でも、排泄物の処理とか、雨の日の散歩とか、地味で大変なことは『誰かがやってくれるもの』って無意識に思っちゃうケースがあるんだ」

美咲の言葉にハッとしました。まさにうちの夫のことだと。一般的な解決策として「手伝ってほしいと具体的に言う」や「役割分担を決める」といった方法は試したものの、結局は一時的なもので終わってしまい、根本的な解決には至りませんでした。夫は「分かった」とは言うものの、数日経てば元通り。「言わないとやらない」状態が続き、私はさらに疲弊していく一方だったのです。

「もう、このままじゃ私だけがどんどん疲れて、犬を飼ったことを後悔しちゃうかもしれない…」

そんな心の声が、私の胸を締め付けました。愛犬の無邪気な瞳を見るたび、この子に申し訳ないという罪悪感と、夫へのやるせない怒りが交互に押し寄せてくる日々でした。

絶望の淵からの転機:ドッグトレーナー友人の「見える化」アドバイス

ある雨の日、愛犬が家の中で粗相をしてしまいました。夫は「あーあ、やっちゃったね」と遠巻きに見ているだけ。私は溜まりに溜まった感情が爆発寸前でした。「なんで見てるだけなの!?」と怒鳴りたくなりましたが、それも無駄だと分かっていたので、黙って後始末をしました。その時、ふと美咲の言葉が頭をよぎったのです。「誰かがやってくれるもの」。まさにその通りでした。

その夜、私は決心しました。このままでは私自身が壊れてしまう。もう一度、美咲に相談しようと。美咲は私の憔悴しきった声を聞き、すぐに会ってくれることになりました。

「君が一人で抱え込んじゃうのは、犬にとっても、夫婦関係にとっても良くないんだよ。まずはね、夫の『無意識』を『意識』に変えることから始めてみない?」

美咲が提案してくれたのは、驚くほどシンプルな方法でした。それは「犬のお世話リスト」の作成と、「夫の『好き』を活かす」というアプローチです。

「まず、一日の犬のお世話を全部書き出してみて。散歩、ご飯、水の交換、トイレシート交換、ブラッシング、遊び、病院の予約…。それから、夫が『これならやってもいいかな』って思えることをいくつか選んでもらうの。最初は簡単なことからでいい。そして、彼が少しでも何かしたら、大げさなくらい褒めてあげて。人間ってね、褒められると伸びる生き物なんだから」

夫の「好き」を原動力に!行動変容を促す3つのステップ

美咲のアドバイスを受け、私は早速「愛犬お世話リスト」を作成しました。そして、夫に「美咲がね、犬の健康のためにこういうリストを作るといいって言ってたよ」と切り出しました。夫は最初は少し戸惑っていましたが、私が「これの中で、あなたが一番やってあげたいことは何?」と尋ねると、「じゃあ、朝の散歩はやってあげようかな。可愛いし」と、意外にも前向きな返事が返ってきたのです。

私は心の中で「よし!」とガッツポーズ。これが第一歩でした。

ステップ1:お世話タスクの「見える化」と「選択権」

「愛犬お世話リスト」を冷蔵庫に貼り、夫が自分で担当したいタスクを選べるようにしました。最初は朝の散歩だけでしたが、私が「ありがとう、助かるわ」と感謝を伝えると、夫は少し照れながらも嬉しそうでした。重要なのは、私が一方的に「これをやって」と命令するのではなく、夫自身に「選ばせる」ことです。これにより、彼は「やらされ感」ではなく「自分で決めた」という当事者意識を持つようになりました。

ステップ2:小さな行動への「ポジティブなフィードバック」

夫が散歩から帰ってきたら、「お疲れ様!ありがとう、助かるわ〜。〇〇(犬の名前)も嬉しそうにしてたよ!」と具体的に感謝を伝えました。時には、夫が犬と遊んでいる時に「本当に〇〇(犬の名前)のこと好きなんだね。見てると私も幸せになるよ」と伝えると、夫の表情が柔らかくなるのが分かりました。美咲が言っていた「褒めると伸びる」を実感した瞬間です。

ステップ3:夫の「得意」や「好き」を活かす役割分担

夫は犬と遊ぶのが大好きです。そこで私は「〇〇(犬の名前)と遊んでくれるのは、あなたにしかできないことだね」と、遊びの時間を夫の「特別な役割」として位置付けました。もちろん、遊びだけでなく、散歩やご飯といった基本的なお世話も続けてもらうようにしましたが、夫が「得意」とする部分を強調することで、彼のお世話へのモチベーションが向上したのです。

夫の行動が変わった!我が家の変化を比較

美咲のアドバイスを実践してから数週間、我が家には驚くべき変化が訪れました。

項目以前の夫の行動変化後の夫の行動
散歩ほぼ私任せ。「行きたいなら行けば?」毎日朝の散歩を担当。雨の日もカッパを着て出かける
ご飯「お腹空いてるみたいだよ」と私に促す私が忙しい時は自ら用意。水の交換も忘れずに
遊び気まぐれに遊ぶ程度毎日欠かさず遊ぶ時間を確保。新しいおもちゃも買う
トイレ粗相しても見てるだけ率先して片付ける。シート交換も手伝うように
会話犬の世話について話すと不機嫌になる犬の様子を共有し、協力的な姿勢が見られる

夫は以前よりも積極的に犬のお世話をするようになり、私への負担は格段に減りました。何よりも、夫が犬と心から向き合っている姿を見て、私自身のイライラも消え去り、夫婦の会話も増えました。美咲には本当に感謝しています。

知っておきたい!夫がもっと当事者意識を持つためのQ&A

Q1: 夫がリストを見てくれない場合はどうすればいいですか?

A1: ドッグトレーナーの美咲によると、「リストはあくまできっかけ。強制ではなく、一緒に内容を検討する姿勢が大切」とのこと。まずは夫が興味を持ちそうな簡単なタスクから提案し、一緒にリストを完成させるのが良いでしょう。夫が「これならできるかも」と思える項目を増やすことが重要です。

Q2: 褒めても効果がないように感じます。

A2: 褒め方が重要かもしれません。具体的に「〇〇してくれてありがとう、本当に助かる!」と伝え、その行動が自分や犬にとってどれだけ良い影響を与えたかを具体的に伝えるのが効果的です。美咲は「男性は特に、自分の行動がどれだけ役立っているかを知ると、モチベーションが上がる傾向がある」と話していました。

Q3: 結局、私が全部やることに逆戻りしそうで不安です。

A3: その気持ち、とてもよく分かります。美咲は「最初から完璧を求めないことが大切」と言います。一度に全てを任せるのではなく、まずは一つのタスクから確実に習慣化させましょう。夫が手伝ってくれたら、その都度感謝を伝え、小さな成功体験を積み重ねることが、夫の当事者意識を育む鍵となります。

Q4: 夫と話し合いがうまくいきません。

A4: 感情的にならず、冷静に伝えることが重要です。美咲は「『〜してくれない』と責めるのではなく、『〜してくれると助かる』という『I(私)メッセージ』で伝えてみて」とアドバイスしてくれました。また、犬の健康や安全を理由に話を進めると、夫も真剣に聞いてくれることが多いようです。

夫婦で育む「愛犬との幸せな時間」へ

「可愛い」という感情だけでは、犬との暮らしは続きません。大切なのは、夫婦二人で「命を育む」という当事者意識を共有することです。

もし今、あなたが私と同じように夫の犬の世話に悩んでいるなら、ぜひ一度、夫の「無意識」を「意識」に変えるアプローチを試してみてください。最初は小さな一歩かもしれませんが、その積み重ねが、夫の行動を変え、夫婦の絆を深め、何よりも愛犬との幸せな時間を何倍にもしてくれるはずです。

私自身、美咲のアドバイスを実践して本当に良かったと感じています。夫が犬と真剣に向き合う姿を見られるようになった今、我が家は以前よりもずっと明るく、愛犬も心なしか楽しそうに見えます。ぜひ、あなたも諦めずに、夫婦で愛犬との新しい関係を築いていきましょう。

この記事を書いた人

山本 恵美子 | 30代後半 | 家族の悩みに寄り添う体験型webライター