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犬大好きすぎて「育犬ノイローゼ」?不安を乗り越える道

初めて子犬を迎えたときの、あの胸が高鳴るような喜びは忘れられません。小さな命をこの手で守り、絶対に幸せにしようと心に誓ったものです。30代後半の私も、まさかその「大好き」という気持ちが、自分を追い詰める「育犬ノイローゼ」に繋がるとは夢にも思っていませんでした。夜中に響く甲高い鳴き声に、心臓が締め付けられるようでした。「お願い、静かにして…」そう心の中で叫びながら、私は涙をこらえていました。トイレの失敗を見るたび、「私がもっとしっかりしていれば…」と、自分を責める毎日。寝不足と疲労で、まるで自分自身が子犬になったかのように、常に不安と焦燥感に苛まれていたのです。

なぜ、こんなにも愛おしい存在が、私をここまで追い詰めるのでしょうか?その原因は、私たちが抱く「理想の飼い主像」と、子犬の「現実」とのギャップにあるのかもしれません。多くの飼い主は、「完璧な環境を与えなければ」「一刻も早くしつけを成功させなければ」というプレッシャーに囚われがちです。しかし、子犬はまだ人間で言えば赤ん坊。彼らにとって世界は初めての体験ばかりで、失敗は当たり前なのです。一般的なしつけ本やSNSの情報は、時に「こうあるべき」という理想を押し付け、私たちをさらに苦しめることがあります。このままでは、愛する子犬との関係も、私自身の心も壊れてしまうのではないかという恐怖に襲われました。

そんな時、私の心の支えとなってくれたのが、ドッグトレーナーの資格を持つ友人、美咲さんでした。彼女も以前、同じような経験をしたことがあると打ち明けてくれました。

「ねえ、完璧な飼い主なんて存在しないんだよ。大切なのは、完璧を目指すことじゃなくて、お互いが心地よく過ごせる関係を築くこと。子犬はあなたの鏡だから、あなたが疲弊していると、子犬も不安を感じちゃうんだよ」

美咲さんの言葉は、私の凝り固まった心をゆっくりと解き放ってくれました。私は、子犬の可愛さに目を奪われすぎて、自分の心の声を聞くことを忘れていたのです。

美咲さんとの出会いを転機に、私は具体的な行動を始めました。

まず、夜鳴きへの対処法です。美咲さんは「子犬が安心できる環境を整え、決まった時間に寝かせる習慣が大切。夜鳴きは、寂しさや不安のサインであることが多いから、無視する勇気も必要だけど、まずは環境の見直しから」と教えてくれました。私は子犬のケージを寝室の近くに置き、タオルで覆って落ち着ける空間を作り、寝る前の短い遊びとトイレを徹底しました。少しずつ夜通し眠れる時間が増えていきました。

次に、トイレの失敗です。美咲さんは「失敗を怒るのではなく、成功を徹底的に褒めることが大切。最初は成功する確率が高い場所で、短い間隔で連れて行ってあげて、成功したら大袈裟なくらい褒めてあげてね」とアドバイスをくれました。子犬も「ここでやると褒められる」と理解し始め、失敗が目に見えて減っていったのです。

美咲さんは、私にこんなアドバイスもくれました。「子犬のしつけは、人間の子育てと同じくらい大変なこと。だから、一人で抱え込まずに、周りの助けを借りることが重要だよ。例えば、一時預かりサービスを利用したり、家族に協力してもらったり、プロのドッグトレーナーに相談するのも全然恥ずかしいことじゃない。むしろ、賢い選択だよ」

美咲さんの言葉に背中を押され、私は夫にも育犬の悩みを打ち明け、協力体制を築きました。夫が子犬の世話をしている間に、私は自分の心と体を休ませる時間を作れるようになったのです。心に余裕が生まれ、子犬の失敗にも以前ほどイライラしなくなりました。

特徴完璧を目指す育犬の私幸せを目指す育犬の私(美咲さんのアドバイス後)
心の状態焦燥感、自己嫌悪、疲労困憊穏やか、子犬の成長を見守る喜び、心の余裕
子犬の反応不安、ストレス、夜鳴きや失敗が続く安心、信頼、しつけの吸収が早い
しつけ方法厳しく、失敗を叱りがち褒めて伸ばす、成功体験を重視
周囲との関係一人で抱え込む、孤立家族や専門家と協力、情報共有

育犬ノイローゼは、決してあなたがダメな飼い主だからではありません。むしろ、愛犬を心から愛している証拠なのです。大切なのは、完璧を求めすぎず、子犬のペースに合わせて、そして何よりも自分自身の心と体を大切にすることです。

よくある質問

Q1: 夜鳴きが止まらない時はどうすればいいですか?

A1: まずは子犬が安心できる環境を整え、寝る前のルーティンを確立しましょう。美咲さんのアドバイスによると、無視する勇気も必要ですが、まずは環境の見直しが先決です。

Q2: トイレの失敗が多くてつい怒ってしまいます。

A2: 怒ることは逆効果です。成功した時に大袈裟に褒め、失敗しても黙って片付け、次回の成功に繋がるよう工夫しましょう。

Q3: 育犬ノイローゼかもしれないと感じたら、どこに相談すればいいですか?

A3: かかりつけの獣医さんに相談し、健康上の問題がないか確認後、信頼できるドッグトレーナーや行動療法士に相談することをお勧めします。自治体の動物相談窓口も利用できます。

「犬大好き」という純粋な気持ちが、いつの間にか重荷になっていませんか?子犬との生活は、喜びだけでなく、多くの困難も伴います。しかし、それは決してあなた一人の問題ではありません。美咲さんが私を救ってくれたように、時にはプロの力を借り、周りの人に頼る勇気を持つことが、育犬ノイローゼを乗り越え、愛する子犬と最高のパートナーシップを築くための第一歩です。完璧な飼い主ではなく、幸せな飼い主を目指しましょう。その先に、きっとあなたと子犬の笑顔が待っています。

この記事を書いた人

佐々木 愛 | 30代 | ペットとの共生をテーマに執筆するWebライター。初めて迎えた愛犬との生活で育犬ノイローゼを経験。その経験から、同じ悩みを持つ飼い主さんをサポートする記事を執筆している。