MENU

遭難・道迷いゼロへ!出発前に必ず家族に送るべき「登山計画書」テンプレート

山へ向かう朝の空気は、いつも特別だ。ひんやりと肌を撫でる風、遠くに見える稜線のシルエット。リュックを背負い、玄関のドアを開けるたび、胸いっぱいに広がるのは、あの雄大な自然への期待と、そして…心の奥底に潜む、一抹の不安だった。

「行ってきます」と家族に告げる。その言葉には、無事に帰るという誓いと、どこか漠然とした「もしも」への懸念が混じり合っていた。彼らは「気をつけてね」と笑顔で送り出してくれるが、その笑顔の裏に、どれほどの心配が隠されているのだろうか。またこの感覚か…今回こそは大丈夫だろうか。でも、もしものことがあったら…そんな自問自答を繰り返す日々だった。

「あの時、なぜ僕は…」絶体絶命の遭難未遂と、家族への罪悪感

数年前、僕はその不安が現実になりかけた体験をした。単独での日帰り登山。少しばかり慣れた山だったこともあり、天気予報を軽く見ていた。出発前、家族には「〇〇山に行ってくる。夕方には帰るよ」とだけ伝え、詳しいルートや連絡先は共有していなかった。それが、後になってどれほどの後悔を生むか、当時の僕は知る由もなかった。

山に入ると、予報に反して空模様は急速に悪化。稜線に出た途端、突然の濃霧が僕の視界を奪った。数メートル先も見えない白一色の世界。足元の岩は雨で濡れ、滑りやすくなっていた。道標を見失い、GPSも圏外。冷たい雨粒が頬を打ち、湿った土の匂いが鼻をつく。心臓の鼓動が耳元でドクドクと響き、全身から急速に体温が奪われていくのが分かった。森の静寂が、恐怖の音に変わっていく。

「嘘だろ…どこだ、道は…!このまま夜になったら、俺はここで凍え死ぬのか…?」

全身の血の気が引いていくのが分かった。携帯を握りしめても、電波は一向に戻らない。家族は、僕が今どこで、どんな状況にいるのか、何も知らない。僕が帰らないと、彼らは一体どうするのだろう?どこを探せばいいのかも分からないまま、ただ不安に苛まれるだけだ。なんて無責任なことをしてしまったんだ、俺は…。その時、僕の頭をよぎったのは、家族の顔だった。もし、このまま戻れなかったら、彼らは一生、僕を責め続けるだろう。そして、僕自身も、あの時の選択を永遠に悔やむことになるだろう。

幸いにも、その日は奇跡的に視界が一時的に開け、辛うじてルートを見つけ出し、無事下山することができた。しかし、その体験は僕の心に深い傷と、家族への拭いきれない罪悪感を残した。あの冷や汗と、絶望感は、今でも鮮明に覚えている。

「命のパスポート」としての登山計画書に出会うまで

遭難未遂の経験を経て、僕は山の安全について真剣に考え直すようになった。どうすれば、あの時の不安を二度と味わわずに済むのか。どうすれば、家族に余計な心配をかけずに山を楽しめるのか。そんな自問自答を繰り返す中で、ある山岳会のベテラン登山家と出会った。彼から聞かされたのは、「登山計画書」という存在の重要性だった。

「登山計画書は、ただの書類じゃない。それは、あなたと家族、そして救助隊をつなぐ『命のパスポート』なんだ」

その言葉を聞いた瞬間、雷に打たれたような衝撃を受けた。これだ!あの時の僕に、そして家族に、本当に必要だったのはこれだったんだ!僕は、今までその存在を知りながらも、「なんだか面倒だな」と軽視していた自分を深く恥じた。それは、単なる事務的な書類ではなく、万が一の事態に備える、最も具体的で、最も愛情のこもった「準備」だったのだ。

あなたと家族を守る「命の羅針盤」:登山計画書の具体例

登山計画書は、遭難時に救助活動を迅速化し、家族の不安を軽減するための最も強力なツールだ。警察庁の統計を見ても、詳細な情報があるかないかで、捜索の初動や成功率に大きな差が出ることが分かっている。では、具体的に何を記載し、どう活用すればいいのだろうか。

登山計画書に含めるべき項目

1. 基本情報: 氏名、年齢、住所、緊急連絡先(氏名、続柄、電話番号)。

2. 山行概要: 山域名、登山日、下山予定日。

3. 登山ルート: 具体的なコース名、主要な分岐点、危険箇所。地図アプリのスクリーンショットなども添付すると良い。

4. 行動予定: 各ポイントの通過予定時刻、休憩予定時間。無理のない計画を立てることが重要だ。

5. 装備品リスト: 服装、靴、食料、水、ヘッドランプ、予備バッテリー、ファーストエイドキットなど、持参する全ての装備。

6. 車両情報: 車種、ナンバー、駐車場所(もし車で行く場合)。

7. 特記事項: 持病、アレルギー、服用中の薬、登山経験、その他懸念事項。

8. 下山後の連絡方法: 下山完了後、家族にいつ、どのように連絡するか(例: 〇時までに電話、メッセージなど)。万一遅れる場合の連絡方法も記載しておく。

これらの情報を記載した計画書を、登山出発前に必ず家族や信頼できる友人、または山岳会に送付すること。メールやLINEでPDFや画像として送るだけでいい。この一手間が、万が一の時にあなたの命綱となり、家族の心の拠り所となるのだ。

家族に計画書を送ることで得られる「本当の安心」

登山計画書を家族に送り始めてから、僕の登山は劇的に変わった。出発前、家族に「計画書を送ったよ。下山予定は〇時頃ね」と告げると、「分かった、気をつけてね。計画書見たよ」と、彼らの表情は以前よりもずっと穏やかになった。僕自身も、山へ向かう道のりが、以前のような漠然とした不安ではなく、確かな準備に裏打ちされた自信に満ちたものに変わった。

山に入ると、清々しい朝の空気、鳥のさえずり、足元に広がる苔の絨毯、そして遠くに見える壮大な景色。以前は、どこか心の片隅で「もしものこと」を考えていたが、今は違う。僕の命が、家族との絆が、この一枚の紙で守られている。こんなにも安心して、この大自然を満喫できるなんて…。

計画書は、僕が山に没頭するための「心の解放」をもたらしてくれた。そして、家族との間には、目には見えないけれど、確かな「信頼の絆」が生まれた。彼らは僕を信じ、僕は彼らを信じ、そして、計画書が僕たちを繋いでいる。これこそが、僕が求めていた「本当の安心」だったのだ。

今すぐ実践!あなたの「命の計画書」をダウンロード

山は、時に私たちに厳しい試練を与える。しかし、適切な準備をすることで、そのリスクは大幅に軽減できる。登山計画書は、あなたの命を守るだけでなく、あなたが愛する家族の心の平穏を守るための、最高のツールだ。

「面倒くさい」「自分は大丈夫」そんな思い込みは捨ててほしい。僕のようにならないために、今すぐあなたの「命の計画書」を作成し、大切な家族に送ってほしい。インターネット上には多くのテンプレートがある。それを活用し、あなただけの計画書を完成させよう。

登山計画書は、あなたが愛する人への、最高の「行ってきます」のメッセージです。そして、無事帰還への「羅針盤」なのだ。